<< 題詠blog2009へ参加します。 題詠blog2008(6首) >>

俳句

オルガンの 和音響きぬ 春の雷
胎内の 螺旋たどれば 白い独楽
基督の 顔 歪みゆき 雪崩
身をそらす 少女 氷湖に 銀の円
月 昔 ヒトが見たツキ 春朧
君を見た 気がした しゃぼん玉の夕

ビーズ粒 ばらまく春の 雨が好き
手のひらの釦 あなたの欠片かな
かわされて ほっとしている 春の虹
くちびるに 君の感覚 春の雪
桜貝 ふれる ソーダのような海
いつかまた 会える距離感 春朧

雨粒の 金色つたふ 春の闇
海色を 探す三月 生きず逝かず
さくらふる 土に埋めて 在る記憶
花曇 閉じたる本に 居る女
散らかした 言葉さらさら さくらかな
春の街 切り取ってゆく 自転車で

思いきり 伸びして春の けものかな
はにかんで 笑って 爪に蝶を飼う
路線バス あの日の君が 見た春宵
豆腐崩し 崩しギリシャの 海の青
珈琲に 渦消ゆ春の 夜に鬱む
ダリア一輪 夜は金魚の 双眼に

掬い取る てのひら我の 真珠星
別々の日々 雨粒の ように享け
蝶ふはり 逃がして 洗濯物乾く
隅に在る ギターをならし 待つ春宵
椅子ひとつ 暮れゆくひとり 待つ部屋で
かなしくて 猫抱く心音 よび合ひぬ

春満月 ははつまおんな わたしかな
伸びし手の 先に揚羽の 子のみどり
曇り空 ばらの芽ゆるく 刺さりゐる
いぬふぐり 散らして空の 青を見る
アネモネの 白 風の中 君と居る
ありったけの嘘 子の目にもさくらかな

硝子割れ 君は欠片に 散らばりぬ
春の月 はらりと落ちた 黒揚羽
だくだくと 言葉流るる 春の泥
女居て 水飲む喉の しろきこと
離島ゆく 廃屋に咲く 芝桜
素足入れ ひろがる銀河 夜光虫

おととしの 燕 黒曜石の目よ
ヒース野の 吹かるる からの子宮かな
春の泥 少女のほとの 果てに眠らむ
さわさわと アネモネ開く あさがくる
魂のかたち 揚羽は ゆるく舞ふ
あの夏野 ひとつの嘘が 吹かれゐる

「らしさ」など 燃べ 夏の蝶 夥し
やはらかき 嘘吐く 繭は青 孕む
さみだるる 声なき人魚 還す波
暮るる背を 抱く翅のあと 確かめる
オレンジは 月の手触りかもしれない
鱗粉にまみれむ 罪は 煌きぬ

見上げれば 羽音降り来ぬ 夏木立
色硝子 積まれ夏めく 骨董市
この道の この木も 白い花水木
ゆらゆらと 海月は人の 夢を喰ふ
ボタン一つ 落ちて夏海 すきとほる
青ばかり 無くなる絵具 夏兆す

ぽたぽたと 陽射し描き込む 水彩画
初夏の月 ボタンのように 小さな本当
覆ひたき 雑踏 新聞 高く舞ふ
祭り了え 青いひよこと 眠れる子
水底の 光の記憶 貝ボタン
地には蟻 ねむりなさいと 螺旋描く

日は昇り 蝶の輪郭 なぞりたる
日傘ひとつ まわる砂浜 らいてう忌
黄泉の時計 少し未来を 刻む雨季
壁に在る 無名の詩にも 走梅雨
ジムノペディ 野薔薇の赤は 散り易く
金色の 麦の穂風を かきまぜる

卓上の薔薇 月光を呼吸する
アカシアに病み アカシアを食む 我は
青時雨 連弾 たどたどしく続く
花園に 棲みたき守宮 黒濃くす
うたた寝に 新樹さらさら 脳に降る
はじまりも しない恋消ゆ ソーダ水

緑雨打つ 読み人知らずの 歌碑の上
ビー玉は 転がる梅雨の 空を容れ
紫陽花に やさしい言葉 託し居り
指揮棒を 振るのはあの子 あの蛍
群青の 空へ落書き 初蛍
たてがみは 乾き靡いて 麦の秋

いたづらに 奪ふ 欠片となりし蝶
塊と なりて墜ちたる ものに梅雨
カラフルな 錠剤 体内 めぐる梅雨
梅雨曇 赤い折り紙 けもの生む
水玉の世界 女の眼もDOTS
茨咲く 少女で在りし 頃のこと

一片の パズルを探す 夏の旅
ぼうふらの 見る空遠く 子等の声
呼吸する ように朝来る 夏館
通勤の人々 脳に 朝の凪
誘蛾灯 きらりきらりと 落ちるもの
香水の かすかに標す 地下の街

田に人に 街に我にも 驟雨かな
ネグリンの 薔薇迷い入る 鏡の間
拾い読む 例句ざわざわ 青嵐
昼花火 響いて我の 内の闇
君伏せし 本の銀文字 ふらんす堂
片陰り 架空の男に 淹れるお茶

俄雨 ぽえむ・ぱろうる 色の渦
羅の 女掛けられ 夜の書斎
曲がり角 ごとに風鈴 会いに行く
ただ眩し 夢 草 ネイル 夏の季語
ひとの子に 袂ひかれて 宵まつり
括られる ことを嫌いて 糸蜻蛉

夕凪の アンモナイトが 耳の奥
立ち枯れし 紫陽花明日を 生き通す
黄金虫 ゆうやみを断つ 弾のごと
ゆうだちぬ 困った顔で 煙草くゆらす
炎昼の 蛇口囁く 「溺れよ」と
ぬけがらと なるため燃ゆる 花火かな

闇夜乞う 月ひとつ割る 蟇蛙
あまのじゃく 老いて槐の花ゆらす
青髭の 潜みし茶房 蔦茂る
主無き 窓を叩きぬ 夏落葉
うすき皮膚 愛す みずいろ花火かな
点描の 街崩れ行く 夏の雨

寂の字を 読めばふるへる 月見月
面影を 探す色の輪 夏まつり
瞑りたる 脳にダリアが 殖ゆる昼
紋白蝶 あふれ渦成す 午睡かな
十七音 組み立て「君」という幻
コクトーの 男ほどけてゆく 驟雨


--------------------------------------------------------*

*19歳~現在までの俳句です。
その時々、旧かなを使っていますが、
統一せずにそのまま載せています。
*『未定』、『俳句空間』 掲載含む。
[PR]
by nnote | 2009-04-10 14:37 | 過去俳句
<< 題詠blog2009へ参加します。 題詠blog2008(6首) >>