<   2009年 04月 ( 55 )   > この月の画像一覧

俳句

オルガンの 和音響きぬ 春の雷
胎内の 螺旋たどれば 白い独楽
基督の 顔 歪みゆき 雪崩
身をそらす 少女 氷湖に 銀の円
月 昔 ヒトが見たツキ 春朧
君を見た 気がした しゃぼん玉の夕

ビーズ粒 ばらまく春の 雨が好き
手のひらの釦 あなたの欠片かな
かわされて ほっとしている 春の虹
くちびるに 君の感覚 春の雪
桜貝 ふれる ソーダのような海
いつかまた 会える距離感 春朧

雨粒の 金色つたふ 春の闇
海色を 探す三月 生きず逝かず
さくらふる 土に埋めて 在る記憶
花曇 閉じたる本に 居る女
散らかした 言葉さらさら さくらかな
春の街 切り取ってゆく 自転車で

思いきり 伸びして春の けものかな
はにかんで 笑って 爪に蝶を飼う
路線バス あの日の君が 見た春宵
豆腐崩し 崩しギリシャの 海の青
珈琲に 渦消ゆ春の 夜に鬱む
ダリア一輪 夜は金魚の 双眼に

掬い取る てのひら我の 真珠星
別々の日々 雨粒の ように享け
蝶ふはり 逃がして 洗濯物乾く
隅に在る ギターをならし 待つ春宵
椅子ひとつ 暮れゆくひとり 待つ部屋で
かなしくて 猫抱く心音 よび合ひぬ

春満月 ははつまおんな わたしかな
伸びし手の 先に揚羽の 子のみどり
曇り空 ばらの芽ゆるく 刺さりゐる
いぬふぐり 散らして空の 青を見る
アネモネの 白 風の中 君と居る
ありったけの嘘 子の目にもさくらかな

硝子割れ 君は欠片に 散らばりぬ
春の月 はらりと落ちた 黒揚羽
だくだくと 言葉流るる 春の泥
女居て 水飲む喉の しろきこと
離島ゆく 廃屋に咲く 芝桜
素足入れ ひろがる銀河 夜光虫

おととしの 燕 黒曜石の目よ
ヒース野の 吹かるる からの子宮かな
春の泥 少女のほとの 果てに眠らむ
さわさわと アネモネ開く あさがくる
魂のかたち 揚羽は ゆるく舞ふ
あの夏野 ひとつの嘘が 吹かれゐる

「らしさ」など 燃べ 夏の蝶 夥し
やはらかき 嘘吐く 繭は青 孕む
さみだるる 声なき人魚 還す波
暮るる背を 抱く翅のあと 確かめる
オレンジは 月の手触りかもしれない
鱗粉にまみれむ 罪は 煌きぬ

見上げれば 羽音降り来ぬ 夏木立
色硝子 積まれ夏めく 骨董市
この道の この木も 白い花水木
ゆらゆらと 海月は人の 夢を喰ふ
ボタン一つ 落ちて夏海 すきとほる
青ばかり 無くなる絵具 夏兆す

ぽたぽたと 陽射し描き込む 水彩画
初夏の月 ボタンのように 小さな本当
覆ひたき 雑踏 新聞 高く舞ふ
祭り了え 青いひよこと 眠れる子
水底の 光の記憶 貝ボタン
地には蟻 ねむりなさいと 螺旋描く

日は昇り 蝶の輪郭 なぞりたる
日傘ひとつ まわる砂浜 らいてう忌
黄泉の時計 少し未来を 刻む雨季
壁に在る 無名の詩にも 走梅雨
ジムノペディ 野薔薇の赤は 散り易く
金色の 麦の穂風を かきまぜる

卓上の薔薇 月光を呼吸する
アカシアに病み アカシアを食む 我は
青時雨 連弾 たどたどしく続く
花園に 棲みたき守宮 黒濃くす
うたた寝に 新樹さらさら 脳に降る
はじまりも しない恋消ゆ ソーダ水

緑雨打つ 読み人知らずの 歌碑の上
ビー玉は 転がる梅雨の 空を容れ
紫陽花に やさしい言葉 託し居り
指揮棒を 振るのはあの子 あの蛍
群青の 空へ落書き 初蛍
たてがみは 乾き靡いて 麦の秋

いたづらに 奪ふ 欠片となりし蝶
塊と なりて墜ちたる ものに梅雨
カラフルな 錠剤 体内 めぐる梅雨
梅雨曇 赤い折り紙 けもの生む
水玉の世界 女の眼もDOTS
茨咲く 少女で在りし 頃のこと

一片の パズルを探す 夏の旅
ぼうふらの 見る空遠く 子等の声
呼吸する ように朝来る 夏館
通勤の人々 脳に 朝の凪
誘蛾灯 きらりきらりと 落ちるもの
香水の かすかに標す 地下の街

田に人に 街に我にも 驟雨かな
ネグリンの 薔薇迷い入る 鏡の間
拾い読む 例句ざわざわ 青嵐
昼花火 響いて我の 内の闇
君伏せし 本の銀文字 ふらんす堂
片陰り 架空の男に 淹れるお茶

俄雨 ぽえむ・ぱろうる 色の渦
羅の 女掛けられ 夜の書斎
曲がり角 ごとに風鈴 会いに行く
ただ眩し 夢 草 ネイル 夏の季語
ひとの子に 袂ひかれて 宵まつり
括られる ことを嫌いて 糸蜻蛉

夕凪の アンモナイトが 耳の奥
立ち枯れし 紫陽花明日を 生き通す
黄金虫 ゆうやみを断つ 弾のごと
ゆうだちぬ 困った顔で 煙草くゆらす
炎昼の 蛇口囁く 「溺れよ」と
ぬけがらと なるため燃ゆる 花火かな

闇夜乞う 月ひとつ割る 蟇蛙
あまのじゃく 老いて槐の花ゆらす
青髭の 潜みし茶房 蔦茂る
主無き 窓を叩きぬ 夏落葉
うすき皮膚 愛す みずいろ花火かな
点描の 街崩れ行く 夏の雨

寂の字を 読めばふるへる 月見月
面影を 探す色の輪 夏まつり
瞑りたる 脳にダリアが 殖ゆる昼
紋白蝶 あふれ渦成す 午睡かな
十七音 組み立て「君」という幻
コクトーの 男ほどけてゆく 驟雨


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*19歳~現在までの俳句です。
その時々、旧かなを使っていますが、
統一せずにそのまま載せています。
*『未定』、『俳句空間』 掲載含む。
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by nnote | 2009-04-10 14:37 | 過去俳句

題詠blog2008(6首)

001:おはよう
生きていた事さえ曖昧「おはよう」のことばが残る携帯電話

002:次
次次に雨粒割れてわたくしのからだが灰になるときのこと(未投稿)

003:理由
散り際の花をつむときひとである理由が地面にこぼれはじめる (未投稿)

004:塩
子等の輪のなかに蛞蝓ひとふりの塩に消えゆくいのち見ている(未投稿)

005:放
さかなにはさかなのことば仄青くなるまで海に放つ踝 (未投稿)

006:ドラマ
言いさして消された女ドラマなど見ない画面に映ったひとり(未投稿)
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by nnote | 2009-04-10 12:42 | 過去短歌

題詠blog2007(自選50首)

001:始
始まりは揚羽ひとひら君の耳かすめ私の脳に沈んだ

003:屋根
屋根という屋根には鏡風船の赤閉じ込めて今日のあおぞら

005:しあわせ
「しあわせにくらしました」の後の行死まで何千頁の空白

006:使
使わない食器や家具が増えてゆく架空の男と暮らし始めて

008:種
蹲る人人人は種になりきみどりいろの夢をみている

009:週末
さくらさくらさくらに塗れ迷子にはなれぬ週末人に紛れる

010:握
ひと握りほどの言葉とチョコレイト死んでもいいと思う春の日

011:すきま
すきまから見えているのは四月ですあなたを埋めた春が来ました

012:赤
吊るされて赤い襦袢は風孕む昔むかしの恋のことなど

013:スポーツ
ブラウン管闇夜と私映すからスポーツニュース消せないでいる

014:温
温暖化告げるテレビをながら観し足の小指を空色に塗る

016:吹
長く細く削るえんぴつ増えてゆくいのち吹き込む遊び覚えて

017:玉ねぎ
半分に切った玉ねぎ半分になったこころで春に伸びゆく

019:男
男でも女でもないわたしたち影ふみ影はひとつに融けた

021:競
(競)の字は孤独な双子理由もなく合わせ鏡の世界を走る

023:誰
高架下ふえる落描き雨の日は見知らぬ誰かの事を想った

026:地図
地図にない街などないと知っている蛍光ピンクに塗る欧羅巴

028:カーテン
未だひとの妻でいようか曖昧な境界ゆらす白いカーテン

029:国
国ひとつ潰す苛立ちキーを打つ音かたかたと満ちてゆく夜

030:いたずら
いたずらの文字の大小ひらがなの軽さ重さも畳んで棄てる

032:ニュース
異国には異国のニュースただ眠る為に男の声が流れる

034:配
特別な生も死もなく配られた仏花みひらくように咲く百合

035:昭和
思い出も切り売りをする分身の子熊は昭和レトロのおもちゃ

036:湯
ゆるゆると溶け出す思いぬるま湯の中ならきっと泣けるんだろう

039:理想
一粒の理想は風に飛ばされて誰かの庭に赤いアネモネ

041:障
差し障り無い会話などぐるぐると包帯みたいに巻いた脱ぎたい

042:海
藍赤黄散らして驟雨ブラウスの釦海から剥がれ落ちた日

043:ためいき
空洞に水色のもの満ちてきてためいきとして街に捨て去る

046:階段
降りてゆくだけの螺旋階段が在るよ種に還るひとたち

047:没
没にした言葉みたいな蟻の列黒いヒールで散らす炎天

050:仮面
雑踏に人を探せばはだいろの仮面ばかりが溢れる日曜

053:爪
深爪のいびつを愛す虹色の鱗のような爪の女は

054:電車
棄てたもの乗せて電車は南下する詩集こいびとわたし6月

055:労
労いの言葉をかける術もなくあなたの街に紫陽花は咲く

056:タオル
空色のタオルに顔を埋めたら君みずうみのように融け出す

057:空気
20年前の空気を抱いている地球儀からからからと回して

058:鐘
鐘という鐘は鳴るため生きるため生まれたわたしたちの沈黙

064:ピアノ
飴色の空に吊られたピアノ線頷くヒトガタばかりたすけて

067:夕立
夕立に流れゆくもの水色の記憶八月君の体温

069:卒業
卒業の日から十年はなびらを増やすさくらのようになれずに

071:鉄
ふれぬようふれられぬよう遠く来て有刺鉄線越しの夕焼け

072:リモコン
何もかも運び出されてアパートのキッチン見知らぬリモコンひとつ

074:英語
洪水のように英語のメイル来る「元気ですか」と書けず流れる

075:鳥
黒々と泡立つように鳥帰る一本の木にふれる寂しい

077:写真
こいびとは少年のまま百枚の写真水辺に浮かぶNymphaea

081:露
朝露が汚すスカート海までの距離を思って走り出したら

082:サイレン
サイレンの音が遠のき真っ暗な部屋で無音を確かめている

085:きざし
爪先に枯葉壊れる音がして冬のきざしが頬を掠めた

092:ホテル
片言の英語があってあたたかいパリのホテルの三日目の朝

096:模様
月光は網の模様を水に描き尾鰭を持たぬもののかなしみ
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by nnote | 2009-04-10 12:34 | 過去短歌

短歌倉庫1

青鬼灯年月は経る青のまま硬く閉じたる心は核に

残酷な童話は閉じよ赤頭巾被り老婆になりし夕暮れ

鉄の小さき龍棲みし腕昔日我の指に餓へ来ぬ

天邪鬼少女の余生花えんじゅ此処よ此処よと揺らして居りぬ

ピンホールカメラに焼きし黒縁の世界あざやか君の夏服

夕暮の底の図書館それぞれの宇宙浮かべて静かなるヒト

台風の螺旋たどれば懐かしき少女のほとの果ての我が部屋

散らかした言葉六月風に舞うボタンのようにちいさな本当

姓変る朝薄曇切り取って蝶のかたちを君に贈ろう

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mixiの短歌点等に投稿したものも含んでいます。
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by nnote | 2009-04-09 14:45 | 過去短歌

■自己紹介

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■写真・短歌を載せているひと。
*エヌ・ノート。
*日本の真ん中あたりにいます。
*感覚と勘で生きています。

中学生の頃、中原中也が好きでした。
月夜の晩に、ボタンを落としに行った程。

18歳、短詩型と出会いました。
担任が俳人だったのです。
小林恭二の『青春俳句講座』という本はよいですよ。
寺山修司や塚本邦雄を知りました。
この頃『未定』という同人誌に、
少しお世話になりました。
いただいたお手紙とか、
今でも大事にしています。

春になると言葉が溢れてくるようで、
私の短歌や俳句は春のものが多いです。

私のつぶやきが誰かのつぶやきになったら。
これがわたしのゆめです。

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by nnote | 2009-04-07 22:29